2014/07/06

【メイキング】ジャンヌ・ダルクの生涯(ピクトグラム4コマ)

「たのしいインフォグラフィック入門」櫻田潤(BNN新社)の影響を受けて、情報編集の訓練のため、ピクトグラムの四コマ式トレーニングをやってみました。題材は、まだ記憶に新しい「傭兵ピエール」からとって、「ジャンヌ・ダルクの生涯」としました。

Step 1: 4コマのコマ割りを決める

Step 1-1: エピソードを洗い出す

最終的に使う使わないは深く考えずにエピソードを洗い出します。
  1. フランス東部に、農夫の娘として生まれる
  2. 神の啓示を受ける
  3. ニシンの戦いでのフランス軍敗北を予言し、的中させる
  4. シノンで王太子シャルル7世に謁見し、軍の指揮官に任命される
  5. オルレアンでイングランド軍に逆転大勝利する
  6. (首都パリではなく)ランスへの進軍を提案する
  7. ランスにてシャルル7世の戴冠式を実現させる
  8. パリへ進軍するも石弓の矢が当たって脚を負傷、撤退する
  9. 家族とともに貴族に叙せられる
  10. ブルゴーニュ公国軍の捕虜となり、イングランドへ引き渡される
  11. ルーアンでの異端審問裁判により、異端の罪で火刑に処せられる
  12. 百年戦争の終結後に、復権裁判が開かれ無罪となる
  13. 20世紀になってローマ教皇により列聖される

Step 1-2: 始まりと終わりを決める

物語になるのは「2. 神の啓示を受ける」から「11. ルーアンでの異端審問裁判により異端の罪で火刑に処せられる」までなので、この2つを始まりと終わりに設定してみます。

Step 1-3: 1番のエピソードを決める

ジャンヌ・ダルクを語る上で絶対に外せないのは、オルレアンでの奇跡の逆転大勝利でしょう。百年戦争の分水嶺となった戦いをジャンヌ・ダルクが勝利に導いたエピソードですので、「5. オルレアンでイングランド軍に逆転大勝利する」を1番とします。

Step 1-4: 2番のエピソードを決める

シャルル7世が王位に就いたことで、フランス王国は名実ともに復活しました。また、以降、負け戦も続いたことから、この辺りがジャンヌ・ダルクの絶頂期です。そのため「7. ランスにてシャルル7世の戴冠式を実現させる」を2番のエピソードとします。

Step 1-5: 4コマのコマ割り完成

ということで、4コマのコマ割りは以下のようになりました。
  1. 神の啓示を受ける
  2. オルレアンでイングランド軍に逆転大勝利する
  3. ランスにてシャルル7世の戴冠式を実現させる
  4. ルーアンでの異端審問裁判により、異端の罪で火刑に処せられる

Step 2: ピクトグラムを作成する

Step 2-1: ラフスケッチを描く

絵心ゼロの私としては、難しいステップです。まぁ、有り体に言えば子供の落書きですが、グラフィックデザイナを目指すわけではなく情報編集のトレーニングが目的なので、えいやっと恥をさらしてみます。
ラフスケッチ

1コマ目:神の啓示を受ける
天使がメールを届ける図で、神の啓示を表現してみました。雷マークも考えましたが、天罰っぽくなってしまったの却下しました。

2コマ目:オルレアンでイングランド軍に逆転大勝利する
有名なドラクロワの「民衆を導く自由の女神」から採りました。ジャンヌ・ダルクが旗を振り、フランス兵が槍を振るい、イングランド兵が長弓を捨てて逃げるという、ちょっと詰め込みすぎの図です。なお当時のフランス王国の旗は右の(槍の穂先の)紋様でしたが、フランスであることを分かりやすくするために現在のトリコロール(三色旗)を使用したいと思います。また従軍中、ジャンヌ・ダルクが男装をしていたことは有名ですが、それも無視して赤三角のスカートにしたいと思います。

3コマ目:ランスにてシャルル7世の戴冠式を実現させる
戴冠式でジャンヌ・ダルク自身がシャルル7世の頭に載せたわけではありませんが、まぁ、イメージということで。

4コマ目:ルーアンでの異端審問裁判により、異端の罪で火刑に処せられる
安易ですが、火刑です。


Step 2-2: 清書する

ということで、Web上で無料頒布されているピクトグラムなどを切り貼りしました。サイズや余白の調整が必要そうですが、そのあたりのグラフィック的なトレーニングは目的外ということで、割愛して完成ということにします。
The Life Of Jeanne d'Arc




ピクトさんと2杯めのコーヒーを

積読本解消ノ記録、其ノ参。

今週は2冊だけしか消化できませんでした。

1冊目は、「たのしいインフォグラフィック入門」櫻田潤(ビー・エヌ・エヌ新社)。日経サイエンスでも「グラフィック・サイエンス」というコーナーが設けられている通り、最近見かけることが多くなったインフォグラフィックの入門書です。
情報をコンパクト圧縮して、なおかつ分かりやすく表現するという能力は、グラフィックデザイナだけでなく、多くの人にとって有用な能力かと思います。ということで、「ジャンヌ・ダルクの生涯」を題材に、書中で紹介されていた4コマピクトグラムの作成トレーニングをやってみました(3冊目が読み終わらなかった原因です)。
The Life Of Jeanne d'Arc

2冊目は、「珈琲店タレーランの事件簿 2 彼女はカフェオレの夢を見る」岡崎琢磨(宝島社文庫)です。前作に引き続き、アマゾンの書評では毀誉褒貶があるようですが、軽い読み物としては個人的には1作目より高評価です。ミステリィというよりはサスペンス色が強いということもあるのでしょうが、前回のメインであった叙述トリックが、読者に対してというより、登場人物間の駆け引きとして使われているので、前作に感じたアンフェア感もなかったです。また京都駅、伏見稲荷、金閣寺、銀閣寺など、知っている土地が舞台になっているというのも楽しいです。

2014/06/28

科学と傭兵と言葉と噂

積読本解消ノ記録、其ノ弐。


まずは、「日経サイエンス 2014年07月号」から。既に08月号が出ていますが、なんとか1ヶ月遅れまで遅れを挽回してきました。
シュレック」でフィオナ姫が髪を後ろで束ねる髪型を好む理由は、ほどけたロングヘアの3次元描画に要する計算が非常に複雑なためとか。コペルニクスによって提唱された地動説が、他の科学者たちになかなか受け入れられなかったのは、当時(16世紀)の観測事実は地動説とは別の理論を支持していたからとか。かのティコ・ブラーエ(Tycho Brahe)の影響も大きかった模様。

「Tycho Brahe, the scandalous astronomer - Dan Wenkel」(TED-Ed)



傭兵ピエール」佐藤賢一(集英社)は、コペルニクスよりも1世紀近く前に活躍したジャンヌ・ダルク(Wikipedaの「15世紀のフランス王国の軍人」という説明はなんとなくシュールです)に付き添う無頼の傭兵隊長ピエールを主人公にした歴史小説。既に、文庫化、漫画化、さらには宝塚化もされているようです。まぁ、話が少々出来過ぎですが、百年戦争終盤頃のフランスというのがイメージしやすくなりました。




ジャンヌ・ダルクは神の言葉を伝えましたが、コピーの言葉を伝えるのは「言葉の技術 思いつくものではない。考えるものである。」磯島拓矢(朝日新聞出版)です。傭兵ピエールに比べて薄くて字が大きくて余白も広いので、サクッと読み終わりました。タイトルの通り人に伝わる言葉は、思いつきで出てくるものではなく、伝えたいこと/伝える相手/競合/社会環境など、きちんと分析して考えるものだということ。当たり前といえば当たり前ですが、何も考えずにブログを書いている身としては、耳が痛いです。


広告コピーのようにマスを対象にするのではなく、人から人へとパーソナルな関係性を通じて広まるのが「うわさ」という言葉です。しかし、今ではインターネットの登場によって、パーソナルをパブリッシュ(publish)可能になってしまっています。「うわさとは何か - ネットで変容する『最も古いメディア』」松田美佐 (中公新書) では、「うわさ学(?)」の歴史を説き起こすところから初めて、これからの社会での情報との付き合い方を考えました。




しかし、このペースでは積読本がなくなるまで2年以上かかってしまいます。とりあえず、3三箇月のアマゾン&ブックオフ禁止の刑を自己宣告しておきましょう。

2014/06/21

パンとコーヒーと牛乳とタマゴとキウイと数学

積読本解消ノ記録、其ノ壱。

 まずは「珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を岡崎琢磨(宝島文庫)から。最近流行り(?)の、連作短編を繋げての長編ミステリィです。アマゾンでの評価はあまり高くないようですが、私は楽しめました。コーヒーと京阪電車が好きな方にはお勧めです。難を言えば、叙述トリックを最後に持ってきたために、ミステリィとしてはどうしてもアンフェアな印象が拭えません。まぁ、好みの問題ですが。

さて、「カフェ、それは悪魔のように黒く、地獄のように熱く、天使のように純で、まるで恋のように甘い」とのたまったフランスの政治家シャルル=モーリス・ド・タレーランですが、メートル法成立のきっかけを与えた人物でもあるようです。その他、数学史にまつわる興味深い話が色々読めるのは「数学は歴史をどう変えてきたか: ピラミッド建設から無限の探求へ」アン・ルーニー(訳:吉富節子)(東京書籍)です。

 宇宙の真の姿を解明するために人間が生み出したツールが数学だとすれば、牛乳とタマゴは人間の知恵と執念がつくりだした食品です。「牛乳とタマゴの科学 完全栄養食品の秘密」酒井仙吉(講談社ブルーバックス)によれば、特に20世紀に入ってから品種改良が進み乳牛1頭あたり平均約8トン/年の牛乳を出し、鶏1羽あたり平均280個/年のタマゴを産むという、俄には信じられないような生産効率になっているようです。日本では、江戸時代までは牛乳とタマゴは一般的な食品ではなかったようですが、明治以降少しずつ消費が拡大し、戦後、学校給食を通じて一気に消費が拡大したようです。1950年代以降、日本人の体格が大きくなったのは、不足していた動物性タンパク質とカルシウムが十分に供給される様になったからなんですと。

 主食を忘れていました。「真夜中のパン屋さん 午前0時のレシピ」大沼 紀子(ポプラ文庫)です。大人も読める少女小説という評価もあるようですが、私のようなオジサンが読んでも、それなりに楽しめました。内容とは無関係ですが、京阪の淀屋橋や枚方市の駅ナカの神戸屋で夜のタイムサービスに上手くタイミング合うと、ちょっと嬉しくてついつい買い過ぎてしまいます。真夜中のパン屋さんって、もしかしたら本当に需要があるのかもしれません。

最後はデザートに「キウイγは時計仕掛け Kiwi γ in Clockwork」森博嗣 (講談社ノベルス)を。イニシャルV.C.さんが出ていませんが、同窓会的ファンサービスの1冊ですね。単に四季に繋がるルートが消されていっているだけのようしか思えず、どんな伏線が張られているのか想像もつきません。残り3冊でどう纏めるのか?纏める気がないのか?Xシリーズとの関係は?著者によれば「このあと、また少し時間があきます。」とのことなので次作はいつになることやらです。